企業間や個人間でギフト券を送付する際、「どのように送るのが最も安全で丁寧なのか」と悩む方は多いでしょう。金券であるギフト券の送付には、単なる手紙とは異なる厳格なルールとマナーが存在します。
この記事では、ギフト券を紛失や盗難のリスクなく、かつ相手に敬意が伝わる形で送付するための具体的な方法と、知っておくべき必須の梱包テクニック、郵送サービス、そしてビジネスマナーを徹底解説します。結論から言えば、「追跡と補償のある郵送方法」と「丁寧な添え状」の組み合わせが、安全かつスマートな送付の鍵となります。
ギフト券送付で失敗しないための大原則
ギフト券を送る上で最も重要なのは「安全確実性」と「マナー」の二点です。これらが欠けると、せっかくの好意が台無しになってしまいます。
絶対に避けるべき郵送方法
ギフト券や金券類を普通郵便で送ることは、郵便法上は禁止されていませんが、紛失や盗難が発生した場合に一切の補償がないため、絶対に避けるべきです。リスクを最小限に抑えることが大原則です。
送付時の金券の定義を理解する
多くの郵便局員は、商品券、図書カード、プリペイドカードなどを金券として扱います。特に高額なギフト券を送る場合は、必ず追跡・補償のあるサービスを利用し、事前に郵便局窓口で内容物について正直に申告しましょう。
ギフト券を送付する際は、まず追跡と補償の有無を確認し、リスクに見合った郵送手段を選ぶことが最優先事項です。安全を担保することで、相手への信頼も守られます。
送付前に確認すべきギフト券の種類と特性
ギフト券には物理的なカードや紙のタイプと、メールで完結するデジタルタイプがあります。それぞれの特性を理解し、適切な送付手段を選ぶ必要があります。
紙型(商品券・ビール券)の特性と送付
紙のギフト券は、そのまま現金と同じ価値を持つため、最も厳重な取り扱いが必要です。折れたり汚れたりしないよう、硬い台紙や厚紙で挟んで補強し、必ず簡易書留や一般書留を利用します。
カード型(プリペイド・QUOカード)の特性と送付
カード型のギフト券は、比較的耐久性がありますが、磁気情報を持つため、水濡れや衝撃から守る必要があります。また、薄いため普通郵便物に紛れやすく、追跡がないと紛失しやすい点に注意が必要です。
送るギフト券が物理的なものかデジタルなものかを把握し、物理的なものは書留で、デジタルなものは確実なメールアドレス確認を行った上で送付することが基本です。
必須!ギフト券を保護する「封筒選び」と「梱包テクニック」
安全な送付は、適切な封筒と梱包から始まります。内容物が金券だと悟られない工夫も重要です。
厚みのある二重封筒の利用
内容物が透けるのを防ぎ、また強度を高めるために、二重構造になっている封筒(内側が透けない加工)を選ぶのが理想的です。特に、ビジネスシーンでは白色や茶色の丈夫な定形封筒が適しています。
金券だと悟られない梱包の工夫
ギフト券をそのまま封筒に入れると、手触りや形状で金券であることがバレてしまうリスクがあります。必ず、厚紙や段ボール片で挟み込み、さらにその上から水濡れ防止のビニールやOPP袋で包みましょう。これにより、外部からの視覚的な判断を難しくします。
封筒は中身が透けない二重のものを選び、金券を厚紙で挟んで補強する梱包を行うことで、輸送中の破損や盗難のリスクを大幅に軽減できます。
郵送リスクをゼロにする「追跡可能サービス」の選び方
ギフト券の送付において、最も推奨されるのは「書留」です。追跡機能と損害賠償制度により、万が一の事態にも対応できます。
簡易書留と一般書留の違い
簡易書留は5万円までの損害賠償がつき、一般書留よりも安価で手軽に利用できます。多くの一般的なギフト券送付に推奨されます。一般書留は、賠償額を上限500万円まで設定でき、高額な金券を送る際に最適です。
特定記録郵便は「非推奨」の理由
特定記録郵便は追跡は可能ですが、受領印がなく、万が一紛失した場合の損害賠償が一切ありません。金券という性質上、簡易書留以上のサービスを利用すべきであり、特定記録郵便は避けるべきです。
簡易書留は、比較的安価で追跡と5万円までの補償がつくため、大多数のギフト券送付において最もバランスの取れた選択肢となります。安心料として書留代を支払いましょう。
丁寧さが伝わる!送付状(添え状)の書き方ポイント
金銭的なものを送る場合、必ず添え状(送付状)を同封し、単なる事務的なやり取りで終わらせない心遣いが必要です。
送付状に記載すべき必須項目
送付状には、日付、相手の会社名・氏名、自分の会社名・氏名、件名、拝啓・敬具を含む時候の挨拶を記載します。そして、何より重要なのが「内容物の明記」です。「〇〇商品券10,000円分を同封いたしました」と具体的に記載します。
ギフト券を同封する理由を明確にする
お礼、記念品、謝礼など、ギフト券を贈る理由を明確に一文で述べましょう。これにより、事務的な金券ではなく、「気持ち」が込められた贈り物として受け取られます。「日頃の感謝のしるしとして」など、丁寧な表現を心がけます。
送付状は、単なる挨拶文ではなく、内容物(金券)の確認リストと感謝の意を伝える重要な手段です。丁寧な添え状を同封することで、受け取った側の印象が格段に向上します。
法人・ビジネスでギフト券を送る際の会計処理上の注意点
ビジネスでギフト券を送る場合、税務上の扱いを明確にしておく必要があります。
贈答品の勘定科目と証明
取引先への贈答は「交際費」として処理されるのが一般的です。税務調査等に備え、ギフト券の購入時の領収書、誰に、いつ、何の目的で送付したかの記録(リスト)を必ず残しておきましょう。
社員への贈答は給与とみなされるか
従業員へのインセンティブとしてギフト券を贈る場合、原則として「給与」とみなされ、源泉徴収の対象となる可能性があります。福利厚生費として非課税にするためには、全従業員が対象であることや、金額が社会通念上妥当であることなど、厳しい要件を満たす必要があります。
ビジネスでギフト券を扱う際は、「交際費」としての記録保持と、従業員への贈与の場合は給与課税のリスクを理解し、会計部門と連携して正確に処理することが不可欠です。
ケース別:デジタルギフト券と物理ギフト券の送付手段比較
近年増加しているデジタルギフト券(Eメールで送付)は、物理的なギフト券とは全く異なる注意点があります。
デジタルギフト券送付の安全性と即時性
デジタルギフト券(例:Amazonギフト券、デジタルQUOカード)は、即時性に優れており、郵送費もかかりません。しかし、メールアドレスの誤入力や、スパムフォルダへの振り分けにより相手に届かないリスクがあります。必ず受領確認の連絡を取りましょう。
物理ギフト券の優位性(フォーマルさ)
フォーマルなビジネスシーンや目上の方への贈答の場合、手書きの送付状と物理的なギフト券は、丁寧さや重厚感を伝える上で優位です。デジタル送付では難しい、気持ちを込めた演出が可能です。
デジタルギフト券はスピードとコスト効率に優れますが、物理ギフト券はフォーマルな場での敬意と確実な手渡しを重視する際に選ぶべきであり、ケースに応じて使い分けましょう。
送付後の最終確認とフォローアップの手順
ギフト券を送付して終わりではありません。相手が安全に受け取ったことを確認するまでが送付プロセスです。
追跡番号の保管と定期的な確認
簡易書留などで送付した場合は、必ず控えとして追跡番号を保管します。ウェブサイトで追跡状況を確認し、相手先に配達が完了したことを確認しましょう。これにより、届いていないというトラブルを未然に防げます。
受領確認の連絡を行う
配達完了が確認できたら、数日後に電話またはメールで「お受け取りいただけましたでしょうか」と軽く確認の連絡を入れると丁寧です。これは安全確認とマナーの両面で非常に重要です。
追跡番号の保管と、配達完了後の丁寧な受領確認を行うことで、万が一の紛失トラブルを回避し、最後まで責任を持った対応として相手に好印象を与えることができます。
よくある質問
Q1. 簡易書留でギフト券を送る際、郵便局の窓口で中身を申告する必要がありますか?
A. はい、申告は必須ではありませんが、金券であることを伝えておくと、郵便局側も厳重に取り扱うため安心です。特に高額な場合は、必ず書留であることを確認し、窓口で手続きを行いましょう。
Q2. 普通郵便に追跡サービスを付ける「特定記録」は金券の送付に使えますか?
A. 特定記録は追跡は可能ですが、損害賠償(補償)がありません。万が一紛失した場合、金銭的な補償が一切ないため、ギフト券や金券類を送付する際には、必ず簡易書留以上のサービスを利用してください。
Q3. ギフト券を厚紙で挟む際、金券だと気づかれないようにするにはどうすればいいですか?
A. ギフト券をそのまま厚紙で挟むのではなく、ギフト券を包む小さなメッセージカードや台紙の中に隠すようにセットし、それをさらに厚紙で挟む方法が有効です。これにより、単なる書類に見せかけることができます。
Q4. 送付状の代わりに、簡単なメッセージカードを添えるだけでも問題ありませんか?
A. 親しい間柄の個人的な贈答であれば問題ありませんが、ビジネスやフォーマルな場面では、「誰から、何を、なぜ送ったのか」を明確に記載した送付状(添え状)を正式に作成するのがマナーです。
Q5. デジタルギフト券をメールで送る際、同時にパスワードやPINコードを送るのは危険ですか?
A. 同一メールで全てを送ることはセキュリティ上推奨されません。ギフト券URLとPINコードは、別の時間帯や別の通信手段(例:メールでURL、電話でPINコード)で伝達すると、セキュリティリスクを軽減できます。
まとめ
ギフト券の送付を成功させるには、安全性の確保とマナーの遵守が車の両輪となります。物理的なギフト券を送る際は、必ず「簡易書留」や「一般書留」といった追跡と補償のあるサービスを利用し、梱包は中身が透けないように二重封筒と厚紙補強を行うことが絶対条件です。
さらに、ビジネスシーンでの送付では、丁寧な添え状を同封し、贈る目的を明確にすることで、単なる金券のやり取りを超えた感謝の気持ちを伝えることができます。この記事でご紹介した手順に従い、スマートでリスクのないギフト券送付を実現してください。